ウーパールーパーの生態について:その3

製作:前橋工科大学大学院 阿部 泰宜

うーぱー変態編in京急油壷マリンパーク

さて、今回はウーパールーパーの変態についてご紹介したいと思います。
生物学的に「変態」といいますと…、
動物が成体とは形態・生理・生態の全く異なる幼生(幼虫)の時期を経る場合に、
幼生から成体へ変わること。また、その過程。

のことを指します。
決して、
「変態性欲」の略。また、その傾向のある人。
のことを言っているのではないのですよ。

本来、うーぱー、もとい、アホロートルは変態しない生物、
だと思われていました。
しかし、実際にはそうではないのです。

その昔、メキシコでアホロートルが発見され、「生涯、変態しない生物である」として
西洋の研究者たちがアホロートルを西洋に持ち帰って研究が進められました。
その研究の結果、やはり生涯幼生のまま産卵し繁殖することが確認され、
これを永久に鰓をもつ動物の仲間に加えることになりました。
しかし、1865年9月28日。
パリ植物園で、その年の3月に生まれた4匹のアホロートルが突然、変態をはじめました。
鰓を失い、色が変わり、陸地に這い上がったのです。
その変態後の姿は既知のイモリに似ていて、
それまで「シレノドン・ピシフォルミス」とよばれていたアホロートルは、
じつはメキシコ産の「メキシコサラマンダー」に他ならなかったことが判明したのです。
その事実を知った多くの動物学者たちが、
人工的に水生のアホロートルを陸生動物に変態させようと試みました。
浅い水のなかで飼って、たえず空気にさらしてみたり、
アホロートルの鰓を切りとって(!?)、無理に肺で呼吸させてみたりしたそうです。
それらの実験の結果、ドイツの昆虫学者がアホロートルを人為的に陸生動物に変えることに成功しました。
どーやら、変態する際には「甲状腺」の働きが活発でないといけないらしく、
それを確かめるためにこのような実験も行われています。

トラフサンショウウオの普通に変態を行なう幼生の甲状腺を実験的に除去すると、その幼生は変態しなくなり、
この幼生に再び甲状腺を移植してやると、正常に変態する。
同様にアホロートルに甲状腺を移植してやると、
鰓(えら)を消失して変態することが確かめられている。

つまりは、変態するかしないかは「生活環境」によるのです。
うーぱーが野生化しているメキシコ・ソチミルコ湖の水温は低いうえに、
甲状腺ホルモンをつくるために必要なヨードが不足しているため、
そこに生息していたメキシコサラマンダーが
それらの要因によって幼形成熟を起こしたものであると考えられています。



さて、前置きが大変長くなってしまいましたが、
実験によりうーぱーを変態させ、それを一般公開していた、
京急油壺マリンパーク
に行ってきました。

前橋から直接行ったんじゃー、ちょっと大変かなーと思ったので、
東京の友人宅を経由して行ったのですけれど、
ん〜とね、率直な感想、
かなり遠かったよ?
あー、そりゃそうだわ。
よく考えてみたら、三浦半島の先端まで行ってるんだからなー。
そりゃ、遠い。
でもですねー、
すごくいい景色を見ることができたのですよ。





水族館屋上からの風景です。
た〜いへ〜いよ〜!って感じでした。
内陸育ちの私としましては、なんだか感動ものです。

あー、ちがうちがう。
これを観るためにはるばるここまで来たんじゃなかった。
私は変態うーぱーを観にきたんだった。

係員さんに公開している場所をお伺いしたところ、
ある施設の一番奥で公開しているとのことでしたので、早速向かいました。
そこに至るまでには様々な魚が展示されていましたが、全て無視。
うーぱーにまっしぐらです。

…で。
そいつはその出口付近で公開されていました。

それではご紹介します。
これが変態したうーぱーです。





















うわぁ…。

いやーほんとに、
もはや、かわいさのかけらもねぇ。(泣)







続いては、上からと正面から。



まぁご覧の通り、見事なほどにイモリです。
エラがなくなって、背ビレがなくなり、体色が変化しています。

今回の公開ではこのように、



変態前、変態中、変態後のうーぱーを並べて公開していました。

…で、これが変態前のうーぱー。



…いやー、
まず、こいつからしてどうかと思うのだが。

で、これが変態中。



すいません。うまく撮れませんでした。
しかし、エラや背ビレが小さくなり元のうーぱーとは大きな違いが見られました。
だいぶフツーじゃなくなっている感じ。

そして、公開しているうーぱーの隣には、このように



変態していく課程を記録したパネルが並べられていて、
その形態の変化を分かりやすく紹介していました。

今回訪れた京急油壺マリンパークさんでは、
飼育水槽の水位を徐々に低くしていくことによってエラ呼吸から肺呼吸へと移行させ、
変態を促すという方法を取られていました。
そのため、変態後の水槽にはほとんど水が入っていません。
担当の方にお話を伺ったところ、
変態後は肺呼吸のみでなく、皮膚呼吸も行うそうです。(実は変態前もしているのですが)

そこでしみじみと
「こいつキモイなー」と、変態うぱ水槽を眺めていたところ、

 ウガー。

と、突然暴れだしまして、正直驚いたというより、
かなり滑稽でした。
う〜ん、こいつはこいつでおもしろいのかも…。

ちなみに、



フツーのうーぱーも公開しています。
やっぱりこっちの方がいいですよねー。

いやー、貴重なものを観ることができて本当によかったです。
ただし、うちのうーぱーを変態させてみようという気は全く無くなりましたけれどー。



うーぱー見学も終わったところで、ゆっくりと京急油壺マリンパークを回ってきました。
そこらには、こんな怪しげなサメや、



(手触り、見事な鮫肌でした。)

かわいらしいペンギンなどがいました。



(ペンギンというより係りのお姉さんを中心に撮ってしまいました。
しかもエサをあげている最中は激しく生臭かったのですぐに退散しました。)

こんな楽しい動物たちが沢山いますので、是非一度行ってみてはいかがでしょうか?

それではまた次回。



(閉館間際で、かなりお疲れ気味のアシカたち)

参考文献
http://homepage1.nifty.com/mercedes-iwasaki/era/

京急油壺マリンパーク様。
変態うーぱーを拝見させていただき、大変参考になりました。
本当にありがとうございます。
これからも様々な珍しい動物の公開に挑戦してください。
応援しています。

協力
環境技術研究所  前橋工科大学梅津研究室

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