製作:前橋工科大学大学院 阿部 泰宜
第八回は、ウミウシ&アメフラシを取り上げます。
アオウミウシ
学 名 Hypselodoris festiva
和 名 アオウミウシ
腹足綱
後鰓亜綱
裸鰓目
ドーリス亜目
イロウミウシ科
殻の無い貝類、第2弾です。
しかも今回は海の生き物。
愉「貝」な仲間たちの!の輪がますます拡がっていくのを感じます…。
で、今回は、ウミウシ&アメフラシです。
ウミウシとアメフラシの違いって分かりますか?
…私は分かりませんでした。
アメフラシは、ウミウシの一種に当たるそうです。
刺激を与えると紫色の液を出すかどうかだけじゃなかったのですね。
ちなみにウミウシという名のウミウシはいません。
狭義でのウミウシとは、「後鰓亜綱」(こうさいあこう)裸鰓目(らさいもく)」に分類される生物だけをいいます。
しかし、一般的にウミウシといえば、裸鰓目、頭楯目(とうじゅんもく)、無楯目(むじゅんもく)、
背楯目(はいじゅんもく)、嚢舌目(のうぜつもく)など、
「後鰓亜綱」に分類される生物を総称して「ウミウシ」と呼んでいます。
後鰓亜綱とは、鰓が心臓の後ろに位置することからそう名づけられました。
裸鰓目は、更にドーリス亜目、スギノハウミウシ亜目、タテジマウミウシ亜目、ミノウミウシ亜目などに分類されているため、
分類が非常にややこしくなっています。
ちなみにウミウシ類は、世界中で3000種くらいが知られ、
日本近海では500種以上が確認されています。
その分類とそれぞれの特徴、代表種を表にまとめてみました。
| 後鰓亜綱に分類される生物 | |||
| 目 | 代表種 | 特徴 | |
| 裸鰓目 | アオウミウシ ユビウミウシ |
正真正銘のウミウシ。 ナメクジのような柔らかい体で、 背中には種によっていろいろな形態の突起を持つ。 |
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| 頭楯目 | クロヘリシロツバメガイ ニシキツバメガイ |
ウミウシの仲間。 ウミウシの中では最も原始的な形質を残している仲間。 大きな殻を持つ種類がいくらかいる。触角がない |
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| 無楯目 | クロヘリアメフラシ クロスジアメフラシ |
ウミウシの仲間。 殻は見えないが、背中の中には退化した殻を持つ。 草食性で海藻などを食す。 |
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| 背楯目 | ウミフクロウ カメノコフシエラガイ |
ウミウシの仲間。 背中が外套膜で覆われている種類。 殻を持つものと、背中に埋まっているものがある。 |
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| 嚢舌目 | アベミドリガイ トウヨウモウミウシ |
ウミウシの仲間。 多種多様の形態で、一番種類の豊富な目。 触角が2本、草食性で海藻などを食す。 |
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| 裸殻翼足目 (らかくよくそくもく) |
ハダカカメガイ(クリオネ) | ※ウミウシとは呼ばれない | |
| 有殻翼足目 (ゆうかくよくそくもく) |
ミジンウキマイマイ | ※ウミウシとは呼ばれない | |
| 裸鰓目の分類 | |||
| 亜目 | 科 | 代表種< | 特徴 |
| ドーリス亜目 | イロウミウシ科 | アオウミウシ | 海綿類を食すものが多い きしめんのような形の白色の卵 |
| ドーリス科 | カイメンウミウシ | 夜間活動型、岩礁域を好む | |
| ネコジタウミウシ科 | ヒロウミウシ | 触れるとミノが簡単に取れる | |
| フジタウミウシ科 | カンザシウミウシ | 体長は10mm以下 | |
| オカダウミウシ科 | オカダウミウシ | ウズマキゴカイをエサとする | |
| イボウミウシ科 | ソライロイボウミウシ | この仲間は移動速度が非常に遅い | |
| クモガタウミウシ科 | ネズミウミウシ | アントクメをエサとする | |
| キヌハダウミウシ科 | キヌハダモドキ | ウミウシを食するウミウシ | |
| ラメリウミウシ科 | ミツイラメリウミウシ | 体長は10mm以下 | |
| スギノハウミウシ亜目 | スギノハウミウシ科 | スギノハウミウシ | 擬態を行う |
| ユビウミウシ科 | ユビウミウシ | 夜間活動型で泳ぐのがうまい | |
| オキウミウシ科 | ユメウミウシ | ほとんど動かない。ヒドロ虫をエサとする | |
| メリベウミウシ科 | メリベウミウシ | 体長10cmと大型。小型甲殻類をエサとする | |
| タテジマウミウシ亜目 | タテジマウミウシ科く | オトメウミウシ | 八放サンゴの仲間を食す |
| ミノウミウシ亜目 | サキシマミノウミウシ科 | サキシマミノウミウシ | ウミヒドラ類をエサとする |
| ヒダミノウミウシ科 | ヒダミノウミウシ | エボシガイなどをエサとする | |
| ファセリナ科 | サクラミノウミウシ | 紐状の卵のう | |
| オオミノウミウシ科 | スミゾメミノウミウシ | オウギミウヒドラを食す 紐状の卵のう |
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| オショロミノウミウシ科 | ゴシキミノウミウシ | 刺激を与えると背面突起を自切する | |
| ホリミノウミウシ科 | イリエヒメミノウミウシ | 体長は3mm程 | |
| ハナサキウミウシ科 | ヒカリウミウシ | フサコケムシをエサとする | |
今回初めに紹介したアオウミウシは、最もメジャーなウミウシです。
日本各地の浅い岩礁域に生息しています。
産卵期は春から夏にかけてで、
粘膜による表面張力を利用して逆さになって泳ぐことも可能です。
体長は約5cm程で、海綿類をエサとしています。
ウミウシには名前の由来(海牛)になったように、牛の角のような触角が1対あります。
後方についているフワフワした花のような形状をした器官は、二次鰓と呼ばれるエラです。
つまり、うーぱーと同じような外鰓(がいさい)ですね。
その鰓の中心には肛門があります。
ウミウシもナメクジなどと同じように殻が退化した貝類です。
ナメクジと違い、乾燥を心配する必要性はありませんが、敵に狙われやすくなったのは同じです。
そのためウミウシは自己の防衛手段として、様々な方法をとりました。
種によって違いはありますが、多くの種のウミウシはカイメンをエサとしています。
そのカイメンは微小ながらも毒性を持っています。
そのカイメンをエサとし、体内で毒性を溜め込み、濃縮することで敵からの捕食を防いでいます。
体色が鮮やかなのも、自分の毒性をアピールする警告色であるといわれています。
更に、ヒドロ虫を食べることにより、その刺胞を体内に取り込み食べ心地を悪くしたり、
酸を溜め込むこともあるそうで、食材にはあまり向いていません。
かつて、昭和天皇は多くのウミウシを採取されていたらしいです。
それだけでなく自ら食したこともあったとか。
その味は、やはりあまり美味しくなかったようです。
しかし、ウミウシの一種であるアメフラシを食べる地方はあるそうです。
また、種によっては、体をくねらせたり、側足を使って泳いだりして岩や石の隙間に隠れたり、
カイメンやイソギンチャクに擬態したり、体の一部を切断して逃げるなどといった防衛手段を持っているものもいます。
これら様々な防衛手段を持っているウミウシですが、
捕食者からの攻撃を100%回避できているわけではないことが報告されています。
多くのウミウシはカイメンをエサとしていますが、
カイメンの種類もまた豊富です。
ウミウシの種によっては、決まったカイメンしか食べないこともあるため、
ウミウシを飼育する際には、まずそのカイメンの飼育・採取が必要となります。
しかし、このカイメンの調達が難しいため、ウミウシの飼育は困難であるといわれています。
カイメン以外のものをエサとするウミウシもいます。
ヒドラ類やサンゴ類をエサとする種もいるようです。
スミゾメキヌハダウミウシは、ダテハゼの仲間などのヒレに寄生することで栄養を得て生活しています。
ムカデミノウミウシは、体に共生藻を宿し、
共生藻が光合成により作り出す栄養をもらって生きています。(光を当てるだけで飼育出来るそうです)
更には、キヌハダモドキやイシガキリュウグウウミウシのように、
「ウミウシを食すウミウシ」もいるなど、種によってエサは様々です。
ウミウシは同時的雌雄同体です。
見た目通り、ナメクジと同じ生殖機能です。
ウミウシは目が利かないため、交尾する相手を探すときには、相手が這った後に残されている粘液を辿って探します。
交尾は体右側面にある互いの生殖管を結合させて行います。
1回の交尾で複数回の産卵ができます。
ウミウシは種によって産卵の時期が異なります。
多くの種はリボン状の卵塊を渦巻状に産みつけますが、これも種によって異なります。
アメフラシの卵塊は、「ウミソウメン」とも呼ばれることもあります。
この中には、数万個の卵が入っているそうです。
孵化までにかかる時間も、種や温度等の環境によって異なりますが、約1〜2週間程度のようです。
産まれたばかりの幼生はベリジャー幼生と呼ばれ、浮遊生活をします。
ベリジャー幼生の時には、幼殻と呼ばれる貝殻を持っていますが、多く種では成長する過程で脱ぎ捨てられます。
浮遊生活を過ごした後、変態し着床します。
中には幼生時代に餌をとらずに変態するものや、卵塊の中で変態を済ませてしまう種もいるようです。
ウミウシの寿命として、多くの種が1年程と言われていますが、複数年生きるウミウシもいるようです。
また、ウミウシの生活している環境も様々です。
潮通しのよいドロップオフを住処にしているものや、砂地や海藻に生息しているウミウシもいます。
※ドロップオフ…海中にあるサンゴ礁の切れ目で、断崖絶壁で深くなっている場所。
このようにウミウシの生態は、その色彩同様、多種多様です。
その色彩の美しさからダイバーに人気のウミウシですが、
そのウミウシの種が判別でき、どのような生態なのかを熟知しているダイバーは非常に少ないと思われます。
生物を見る楽しみだけでなく、知る楽しみまで高めることができれば、
スキューバの楽しみ方もきっと変わってくるはずです。
参考文献
http://www.geocities.jp/echizen_kappa/what/what.html
http://www.sea-slug.com/what.htm
http://ww5.et.tiki.ne.jp/~umiusidenki/what.htm
http://www.asahi-net.or.jp/~IK8S-HR/umiushi.html
http://homepage1.nifty.com/InTooDeep/HTML/SeaSlugs-top.html
http://www.umiushi.info/HTML/sp_list.html
http://www.asahi-net.or.jp/~IK8S-HR/u_seitai.html