タニシ編:愉「貝」な仲間たち!

製作:前橋工科大学大学院 阿部 泰宜

第二回は、タニシを取り上げてみたいと思います。



タニシ(ヒメタニシ)
学名 Sinotaia quadrata histrica
和名 ヒメタニシ
腹足綱(ふくそくこう)
前鰓亜綱
原始紐舌(じゅうぜつ)目
ヤマタニシ超科 タニシ科

さて、「タニシ」といっても、どーもややこしいことに、「タニシ」という「タニシ」はいません。
一般的に「タニシ」とは、
ヒメタニシ、マルタニシ、ナガタニシ、ヤマタニシ、オオタニシなどの種を指します。
今回はその中でも、ヒメタニシを取り上げてご紹介いたします。

<分布>

日本各地に分布しています。

<形態>

殻高約35mm、殻径23mmになる巻貝で、螺層は6層となっています。
各層は多少膨らみ、縫合ははっきりとしていますが、深くはありません。
殻表は緑褐色の平滑で光沢のある個体から、螺旋状の螺肋が強く出て角張り、
さらに殻皮毛を生じているものまで様々で、蓋の赤褐色となっています。

<生態的特徴>

雌雄異体で卵胎生です。
「卵胎生」とは、卵を水中に産卵して孵すのではなく、
親貝の胎内で卵を孵してから、稚貝となって出てくることを言います。
そのため、タニシの卵はメスタニシのお腹を切らないと見ることは出来ません。
雄の右触角は交接器となるため、曲がっているのが特徴です。
そのため、触角から雌雄を見分けることが可能となっています。


左がオスで、右がメスです。
雄の右触角から雌の体内に精子が送り込まれ受精すると、受精卵は育児嚢へと移動し発育していきます。
育児嚢の中には大小様々な発育段階の稚貝が入っていて、6〜8月にかけて1匹につき約30〜40個の稚貝を産出します。
食性は雑食性で、植物体や用水路の壁などに付着している微小藻類・デトリタスなどを摂食します。
エラ呼吸を行っているため、空気中から直接酸素を取り込むことは出来ません。
水質階級Vの指標生物となっています。

平野部の潟、沼、小川、水田など水深の浅いところに生息していることが多いようです。

<類似種>

マルタニシはヒメタニシよりやや大型の巻貝で、螺層は各層ともに丸く膨らみ、深い縫合をしています。
殻表は緑褐色の殻皮を被り、光沢があり、蓋は黄褐色です。
ヒメタニシの殻は非常に硬いのですが、マルタニシの殻は柔らかく割れやすくなっています。
また、その個体の大きさの違いからヒメタニシと混同することはあまりありませんが、
スクミリンゴガイ(通称:ジャンボタニシ)という殻高約40mmにも及ぶ、非常に大きな巻貝が存在します。
食用貝として南アメリカから台湾などを経由して移入された種で、
初めは九州で養殖されていたものが、その後各地で養殖されるようになり、
逸脱したものが野生化して九州から近畿地方各地、静岡などに分布を広げ、
水稲やレンコンなどの農作物を食害し、大きな問題となっています。
水陸両棲で、稚貝の頃はエラ呼吸を行いますが、成貝になるとエラ呼吸のほか、
軟体頭部後方にある呼吸管を水面に伸ばして空気呼吸を行います。
壁面や杭、水草などに、真紅色から淡紅色の卵塊を産みつけます。

<他の生物との関係>

<備考>

参考文献
川の生物図典 編集:財団法人リバーフロント整備センター
株式会社環境技術研究所 EEL Daily News

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