雌雄同体編:用語「貝」説!

製作:前橋工科大学大学院 阿部 泰宜

第二回は、雌雄同体について解説していきたいと思います。
多くの人が聞いたことがある「雌雄同体」といわれる生殖機能。
これにはどのような種類があって、なぜこのような形態ををとっているのでしょうか。
今回はそのなぞに迫っていきます。

さて、雌雄同体という言葉。
これと対をなす言葉はもちろん雌雄異体です。
読んで字の如く、「オスとメスにはっきりと分かれている。」という意味です。
「ヒト」がこの生殖機能なので分かりやすいですね。
しかし!です。もしかしたら…、
しっかりとした定義付けを行うならば、これも付け加えなければいけないかもしれません。

「一生涯、性別が変わらない」

えぇっと…、「手術による性転換」などは含みませんよ。
その生物が成長していく中で、自然に変化していかないといった意味です。

そうです。
世の中には成長に伴って、または、グループのバランスをとるために
自然に性転換を行う生物がいるのです。
なんとすばらしき生態的進化の結果!(あ、雌雄異体もそういえるか。)

まぁ、とりあえず性転換を行う生物についてはひとまず置いときまして、
まずは、雌雄同体の種類からご紹介したいと思います。
雌雄同体には
同時的雌雄同体
機能的雌雄同体という2種類があります。

初めに、同時的雌雄同体からご説明いたしますと、
「ある1匹の生物でオスとメス両方の生殖機能を同時にもつ」
といったものです。
私が調べた中では、サカマキガイなどの巻貝の仲間に多いようです。
この生殖機能には、1匹(自分自身で)で受精できるタイプ(自家受精)と、
2匹が交尾してお互いに受精できるタイプがあります。

「えー、せっかく両方もってるんだからさー、
1匹で増えることのできる自家受精の方がずっと効率的なんじゃないのー。」
…私なんかはそんなことを考えてしまいます。

そうです。実はその通りなんです。
結局のところ、2匹が揃わないと子孫を残せないとなれば、雌雄異体となんら変わりません。
(いや、同時に受精できるっていうメリットはありますけどね。)
ではなぜ、自家受精ではないのか?
単純に申しますとそれは「遺伝子パターンの多様化」を行うためです。
まぁ、よーするに、
「自分の遺伝子パターンだけよりは、他のやつの遺伝子も貰っていた方がこの先なんか役に立つだろう」
…てなことです。

その辺の仕組みを詳しくご紹介いたしますと、非常に長い文章になってしまう可能性がありますので、
ここでは省略させていただきます。

では次に機能的雌雄同体をご説明いたします。
実は、これが先ほど申し上げました「性転換する生物」の生殖機能です。
そのため「機能的雌雄同体」には2パターン存在します。
メスとして産まれた後、オスになるパターン
と、
オスとして産まれた後、メスになるパターン
です。
前者を雌性先熟、後者を雄性先熟といいます。

それにしても、なぜこのような生殖機能が誕生したのでしょうか?

「雌性先熟」する生物として、ベラ科・ブダイ科等があげられます。
この「雄性先熟」する原理はこうです。

ベラやブダイの仲間は全てメスとして産まれます。
これらは集団で生活する習性を持っていますが、その中で最も体の大きくなった1匹だけがオスに変化します。
このオスは、グループのメスを独り占めし、集団を外敵から守るという役割をもっています。
もし、このオス以外の個体がオスになったとしても、
体が1番大きいオスに淘汰されてしまいますので、メスを勝ち取って、繁殖することができません。
それならば、オスにはならずにメスのままでいて、自分の遺伝子を残そうと考えるのです。
また、リーダーであるオスが死ぬなどして空席になると、
多くのメスの中からまた新たに1匹のオスが誕生します。
このように、集団として規律の取れた繁殖形態をとるのが「雌性先熟」です。

一方で、「雄性先熟」はクマノミが代表的です。
クマノミはその生活のほとんどをイソギンチャクに依存しています。
先に紹介した「雌性先熟」は
「体が大きくなったものがオスになり、沢山のメスに卵を産ませたほうが有利」
であると考えた生物たちがとった生殖機能であるなら、
「雄性先熟」はその逆。
「体が大きくなったものがメスになり、沢山の卵を産んだほうが有利」
と判断した生物たちがとった生殖機能です。
これらは各々の種の生態によって決まっていきます。
そういった意味で、クマノミはイソギンチャクという限られた生活の場で暮らすことから、
多くの配偶者と出会う機会が少ないため、一夫一婦制という確実に繁殖相手を確保できるスタイルを選び、
自ら卵を沢山産むという戦略をとったのです。

(注:性別が変化する要因についてはその種ごとで様々です。一概にここでご紹介した要因のみで言い表すことはできません。)


一般的に、「雌雄同体」の生殖機能を持つ生物は、「移動性能」に欠けている生物が多いと考えられます。
もしも、これらの生物が「雌雄異体」であったとしたら、
短い生涯でやっと出会った仲間が同姓であったときのリスクを考えると、
やはり「雌雄同体」という生殖機能の方が有利です。
サカマキガイはまさにこれに当てはまります。
…じゃ、タニシは…?

おっと、現時点ではまだタニシの紹介はしていませんでした。
それでは次回タニシについてご紹介していきます。
長々とした文章で申し訳ありませんでした。
それでは今回はこの辺で。

参考文献
http://www.nixe.co.jp/wadai017.htm
http://www.fishwatcher.jp/howtowatch/watch20.htm
http://www.fishwatcher.jp/essay/kumanomi.htm
http://www.ffortune.net/sex/reproduct/history.htm

最後に、私が今回「雌雄同体」を調べていくなかで見つけたあるサイトをご紹介いたします。
ホヤ−性の不思議
ホヤの性についての紹介だけかと思いきや、進化生物学にまで内容が発展していきます。
「オスとメス 性の不思議」長谷川真理子著
という書物の紹介記事っぽく書かれているようですが、
中身が非常に濃く、とても勉強になりました。

しかし、今回の解説の域を大きく飛び越えています。
そんなわけで別にリンクを張らせていただきました。

…ところで、
「性」の目的は何だと思いますか。

「子孫を残す為」

では、間違いなのです。
詳しい答えはそのサイトにて!
皆さん是非ご覧になってください。

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