二枚貝&タナゴ編:愉「貝」な仲間たち!

製作:前橋工科大学大学院 阿部 泰宜

第11回は、二枚貝&タナゴ編ということで、ついに淡水に生息する二枚貝の登場です。
そして、二枚貝だけではなく、二枚貝とタナゴとの共生についてもご紹介していきたいと思います。

二枚貝とタナゴの共生について

淡水生二枚貝の紹介

タナゴ類の紹介



二枚貝とタナゴの共生について

タナゴは淡水に生息する魚でコイ科に分類されています。
世界に約40種、日本には約15種類のタナゴが生息するとされていますが、彼らは独特の繁殖手法をもっています。
それは、自分たちの卵を孵化するまで外敵から守ってもらうため、二枚貝に卵を産みつけるという手法です。
繁殖期になると、タナゴ類のメスは「産卵管」と呼ばれる器官を使い、二枚貝の鰓に卵を産みつけます。
このときに産卵床となる二枚貝のことを「産卵母貝」と呼びます。
タナゴ類が好んで産卵母貝とするのは「イシガイ科」に属する貝類で、二枚貝の中ではやや大きめな貝類です。
その二枚貝の中で卵は、自身の卵黄を吸収しながら発生を繰り返し、
孵化した稚魚は水中へと飛び出していき、やがて成魚へと成長していきます。

ヨシノボリ 逆に、イシガイ科の二枚貝が繁殖する際には、
タナゴやヨシノボリ(右画像)などの魚類が必要です。
イシガイ科の貝類は、生殖機能に大きな特徴を持っていて、
海水に生息する二枚貝のように水中に放精するのではなく、
精子の頭部を透明な球体に埋め込んだ「精子球」という形で放精が行なわれます。
この「精子球」は、球の外側についている鞭毛を動かすことによって移動が可能であり、
メスはこの精子球を入水管から取り入れるとともに、
自分の鰓に卵子を送り込み、鰓の中で受精が行なわれます。
受精卵は鰓の中で発生を続け、孵化した幼生は水中へと放出されます。
この幼生たちは、海水に棲む二枚貝のように水中で浮遊生活を続けるのではなく、
魚の鰓やヒレなどに寄生して栄養を吸収し、
そこで変態し稚貝となり、底生生活をし始めます。

タナゴやその産卵母貝となるイシガイ科の二枚貝は、このように変わった繁殖形態を持っています。
しかし実際には、タナゴはそれほどイシガイの幼生に寄生されるわけではないようで、
主にヨシノボリが多く寄生されているようです。
ヨシノボリとしては、自身の繁殖にはイシガイを利用しないにも関わらずに、栄養分をとられてしまうわけですからいい迷惑です。
タナゴと、二枚貝だけで関係が保たれているのであれば、「相利共生」かなぁ、とも思えるのですが、
ヨシノボリを含めたこれらの関係は、どうやら一方しか利益を受けない「片利共生」、
もしくは「寄生」の関係を築いているといえます。


淡水生二枚貝の紹介

それでは、まず淡水二枚貝にはどのような種がいるのかご紹介していきます。

さて、イシガイ類以外で有名な淡水二枚貝ではシジミが挙げられます。
イシガイ類ではないため、タナゴの産卵母貝にはならないようですが、代表的な淡水二枚貝であるためここでご紹介しておきます。


タナゴ類の紹介

続いて、タナゴ類をご紹介していきます。


このように二枚貝とタナゴは共存関係を築いています。
それは逆に言えば、特定の種に依存した形態をとっているため、
どちらかを保護するためには双方を保護する必要があり、広域な生態系の保全が必要となります。
現在では、そのバランスが崩れかけているため、生息数が激減し、日本にいる約15種類のタナゴのうち、
ニッポンバラタナゴや天然記念物のミヤコタナゴなど4種が
「ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」に指定されています。

タナゴの減少傾向に歯止めをかけるべく、タナゴの人工繁殖も行なわれています。
しかし、それは二枚貝の繁殖に取り組むことと同義であり、広範囲に管理された飼育が必要となります。
その人工飼育の実情として、
タナゴを飼育することよりも二枚貝を飼育の方がより困難であることにより、タナゴの人工繁殖を困難なものにしています。
二枚貝の飼育で重要なことして挙げられるのは、水質の維持と水温の管理、エサの確保です。
水質の維持は、水換えや水処理装置を設置することによって解決できます。
水温の管理は、自然界での生息環境を考慮し、冬季5℃〜夏季18℃の環境が最適であるとされています。
冬季は特に防寒を行う必要はありませんが、夏季の水温管理には注意が必要です。
ただし、それは二枚貝にとっての適温であるため、
タナゴと共生させる場合には、水温が10℃以下にならないようにするのが良さそうです。
さて、二枚貝の飼育で一番のネックとなるのが、エサとなる微生物ベントス類の繁殖です。
「ベントス」とは底生生物のことで、水底を這い回ったり、水底や壁面に付着するような生物のことです。
そのなかでも二枚貝のエサとなるのは微細なベントスであり、
バクテリアなど最小の微生物から、珪藻類、原生動物類、後生動物類などミジンコ以下の微生物を採餌しています。
水質だけに注意して、水換えを頻繁に行なっていると、微生物ベントスの発生を抑制してしまうので、
その管理をどうするかも飼育を難しくするポイントとなっています。
水質に適度な負荷をかけて、微生物ベントスの発生を促すしかありません。
また、二枚貝は溶存酸素の消費が多いため、エアレーションが必要となります。
タナゴと共生させる場合にはより一層の注意が必要です。

参考資料
COM 霞ヶ浦 - ひと/街/自然とともに歩む -
大阪教育大学 個体群生態学研究室
福井県環境情報総合処理システム
やまぐちの環境
消えゆく日本の淡水魚たち
青森県水産情報
東京都建設局
いかもの趣味
足立区生物園
農林水産省
神奈川県水産技術センター
埼玉県 網を手に野へ出よう
タナゴと二枚貝の部屋
水族館 マリンワールド海の中道HOMEPAGE
ニッポンバラタナゴの保護と環境保全
鏡の水面
インターネット自然研究所
横須賀市ホームページ
滑川町ホームページ
日本の水草-タナゴと二枚貝
琵琶湖博物館インターネット展示室
特報!タナゴ王国
Akihisa Moriyama web page
Web of 市立市川自然博物館
宍道湖畔のしじみの学校
群馬県【産業・労働の分野】水試インターネットホームページ

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