カワニナ編:愉「貝」な仲間たち!

製作:前橋工科大学大学院 阿部 泰宜

第三回はカワニナの生態についてご紹介していきます。



カワニナ
学 名 Semisulcospira libertina libertina
和 名 カワニナ 川蜷 河貝子
腹足綱
前鰓亜綱
盤足目
オニノツノガイ超科 カワニナ科

分類はこんな感じです。
…で、ですね、
今までカワニナをご覧になったことがない方は、上の写真をご覧になった素直な印象として、

ながっ!

と思われたかもしれません。
実際、私は初めてカワニナを見たときにそう思いました。
どうも、サカマキガイやタニシに馴染んでしまうと、
カワニナはかなり異質だなぁと感じてしまうのです。
で、こいつは殻の先端が欠けていますが、先端が欠けているのはどうやらメスらしいです。
しかし、先端が欠ける欠けないは生息環境にも大きく左右されてくるのだとか…。

んで、カワニナの特徴としましては、

などということがあげられます。
(ちなみに、カワニナの雌雄は外見からは判別しづらいそうです。)
…さて、ここでおさらいです。
カワニナと同じように「雌雄異体」という生殖機能をもっているのは、
「サカマキガイ」
or
「タニシ」
のどちらだったでしょうか?

…はい。そうですね。
「タニシ」と同じ生殖機能です。
…では、「卵胎生」という点で同じなのは?

そうです。こちらも「タニシ」と同じです。
最後に、「エラ呼吸を行う」という点が同じなのは?

実はこれも「タニシ」と同じです。

…全部タニシと同じ特徴じゃん。
しかし、何といってもカワニナの特徴といったらコレでしょう。

・ゲンジボタルの飼育には必要不可欠である

そうです。
これはむしろ、カワニナ自体の特徴というより、ゲンジボタルの特徴です。
しかし、これがカワニナの存在意義を支えていると言ってもいいくらいに大事な特徴なのです。(言い過ぎか…)
どうやらゲンジボタルの幼虫はかなりの偏食のようで、エサはカワニナしか食べないといったグルメらしいのです。
その他の貝類を全く食べないのかというと、そうでもありませんが、
なかなか上手く消化することができないらしく、結局のところエサはカワニナに頼るしかないのだそうです。

年々減少を続ける蛍ですが、蛍を復活させようという働きかけも強くなってきています。
蛍を出して町興し、などですね。
しかし、蛍を育てようとするためには、きれいな水は勿論のことですが、
それ以上にまず、そのエサとなる貝類の確保が必要になってくるのです。
つまり、蛍を育てるのが難しいのではありません。
蛍が育つ環境を作ることが難しいのです。

ここで、さらにカワニナの特徴を付け加えますと、

・水質階級U(少し汚い水)の指標生物である

という特徴があげられます。
実は、ゲンジボタルがヘイケボタルより飼育が困難だと言われている理由もここにあります。
ゲンジボタルがよりきれいな環境を求めているのではありません。(いや、きれいに越したことはないですが)
エサとなるカワニナがきれいな水でしか生きることが出来ないためです。
その点において、汚い水でも生息可能なサカマキガイやタニシをエサとすることができる
ヘイケボタルとの飼育環境の違いに、大きな差が生じてきてしまうのです。

実際、カワニナを育てることがいかに難しいかは飼育してみて初めて理解できます。
私は、カワニナを飼育するにあたり、
サカマキガイやタニシが普通に飼育できる環境となっていたビオトープにカワニナを入れていたところ、
5日間で約半数のカワニナが死んでしまいました。
そこで水質を検査してみましたが、特に注目すべき数値は得られませんでした。
その他の要因も様々関係してくるとは思いますが、
ある文献では、「硝酸塩、亜硝酸塩がほとんど検出されない水質」でしか飼育することは難しいとありました。
また、池や田んぼに生息するサカマキガイやタニシと違い、
カワニナはその名が示すとおり、川に生息しています。
そのため、飼育する際には水の流れがあった方がよいとされています。
さらには、繁殖を行う際には「水中のカルシウム分がどれだけ必要」であったりするなど、
非常にデリケートな生物であることが分かります。

これらの説明からお分かりいただける通りに、カワニナを人工的に繁殖させようとするならば、
相当の根性と努力が必要とされてくるのです。
要するに、ゲンジボタルを飼育する際には、
ゲンジボタルを飼育するために使う努力の、その何倍もの努力をカワニナの飼育につぎ込まなければならないのです。
それはもはや、一体なんの飼育をしているのか分からなくなってしまうほどにです。
さらにはゲンジボタルはカワニナを激しく食うらしく、その数量の確保は非常に困難です。
その上、数だけではなく、ゲンジボタルが自ら捕食できるカワニナの大きさは限られていますので、
季節に合わせた大きさ(ゲンジボタルの幼虫の大きさ)も揃っていなければならないのです。
あぁ…、何だか気が遠くなるようなお話…。

そのために「貝類の効率的な繁殖方法の確立」が必要となってくるのです。
まず初めはサカマキガイでしょう。
一番飼育しやすく、繁殖が容易とされていますから。
そしてタニシ。最終的にはカワニナの繁殖方法を確立するのが、私の野望であります。

…なーんて、私の研究と上手くつながって、なんとなくまとまったところで今回は終わりにします。
さて…、次回は「モノアラ」…。
いや…、待てよ…。
俺、「モノアラ」飼育してないし、
多分、特徴って言っても「サカマキ」の殻の巻き方を逆にしただけだし…。
(サカマキガイは左巻き。モノアラガイは右巻きです。)
じゃ、シジミ…?
…ついに二枚貝にも手を出すか。
いやいや、これ以上色んな貝の飼育は大変っす。
そんなわけで次回は、「写真で観る貝たちの生態」編をお送りします。
あなたの知らない世界がきっとそこに!
…多分ある…はず…。
それではまた次回!

参考文献
株式会社環境技術研究所 EEL Daily News

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