でいりー"貝"議録!


11月30日(火)…有害貝類:その8

有害貝類は、直接ヒトに危害を加えるものだけではありません。
農作物に被害を加える貝も、有害貝類であるといえます。

その典型種が、アフリカマイマイです。
殻長が20cm近くにも達する世界最大級の陸生巻貝アフリカマイマイは、アフリカ東部原産で、
インドや東南アジアを経由し、食用目的として1930年代に沖縄へ移入されました。
さらには小笠原諸島にも移入されています。
結局、インド−西太平洋の熱帯域に広範囲に広まり、
南西諸島ではサトウキビなどの農作物に被害を与えるなど、各地で農作物に被害を与えています。
また、大変危険性の高い寄生虫「広東住血線虫」の宿主でもあるとして、以前、貝議録でご紹介したことがあります。

60年代、小笠原やマリアナ諸島では、このアフリカマイマイ対策として、
北米産の肉食性の陸貝ヤマヒタチオビガイを導入しました。
しかし、天敵を導入してアフリカマイマイを駆除しようとする事業は、最悪の結果をもたらしました。
ヤマヒタチオビガイは自分より大きなアフリカマイマイを捕食できず、
カタマイマイ類など小笠原固有のカタツムリ類を攻撃し、絶滅へと導いてしまっているのです。

幸い、アフリカマイマイは奄美諸島以北では冬の低温に耐えることができず、本土では持ち込まれたとしても繁殖できませんでした。
なお、アフリカマイマイを沖縄から持ち出すことは法律で禁止されています。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/04/04100.html
http://nh.kanagawa-museum.jp/kenkyu/alien/23.html

11月29日(月)…有害貝類:その7

こうして、ミヤイリガイ及び日本住血吸虫は撲滅されていきましたが、
それらがかつて生息していた川は現在、家庭排水などでの汚染が進み、
今では生物が生息できない環境になってしまっているそうです。

また、現在ではコンクリート固めの河川改修事業に代わり、
可能な限り自然を残した河川改修事業が普及しつつあります。
それらの要因で、再び日本住血吸虫病が再発する可能性があります。
(日本での日本住血吸虫の撲滅には成功しましたが、海外から再び持ち込まれる危険性は残っています。)

もしそうなったならば、何とも皮肉な結果といえます。

参考文献
http://www5.ocn.ne.jp/~miyairi/miyairi01-1.htm
11月28日(日)…有害貝類:その6

それらの活動の結果、
「筑後川流域宮入貝撲滅対策連絡協議会」は、1990年の3月に、「安全宣言」を出していましたが、
2000年3月、「日本住血吸虫病は、ほぼ根絶された。」と宣言し、対策協議会の解散を決定しました。
…また、
1996年2月、地方病撲滅対策促進委員会は、
当時日本国内では、山梨県だけに残っていた、日本住血吸虫病について、
「地方病の流行は終息し、安全と考えられる。」という報告書を山梨県知事に提出しました。
・新たな発症者が、1979年から発生していないこと。
・感染したミヤイリガイが発見されていないこと。
などを根拠として、
山梨県は「山梨県の地方病の流行は終息した。」と、「流行終息宣言」を出しました。
ただし、山梨県の場合は、日本住血吸虫の中間宿主であるミヤイリガイは、いまだに生息しています。
(そのため、安全宣言ではありません。)

参考文献
http://www5.ocn.ne.jp/~miyairi/miyairi10.htm
11月27日(土)…有害貝類:その5

ミヤイリガイ駆除のために、
まずは、ミヤイリガイが生息しにくくするため、用水路はコンクリートで固めるなど、
生息条件をなくすための河川改修事業が行われました。
また、農民が田んぼに入る田植え前、大々的に石灰窒素や殺貝剤を大小の河川すべてに散布したり、
あるいは牧草地やゴルフ場への転換などが積極的に取り組まれました。

参考文献
http://www5.ocn.ne.jp/~miyairi/miyairi01-1.htm
11月26日(金)…有害貝類:その4

昨日の続き。

研究者たちの必死の努力の結果、
この病気が小さな寄生虫「日本住血吸虫」によって引き起こされる病気であり、
対策は中間宿主であるミヤイリガイを駆除しなければ根絶できないことが分かりました。
ミヤイリガイは水陸両生の巻貝で、成貝でも殻高7mm、殻径は2.5mm程の小さな貝です。
殻の形はカワニナに似ています。
そのミヤイリガイには、多くの原虫や、線虫が寄生し、その上、各種の吸虫のセルカリア(幼生)が寄生。
日本住血吸虫のセルカリアだけでも、平均2000〜3000匹という数が寄生していたのです。
そのため、自治体をあげてミヤイリガイ駆除に乗り出すことになりました。

参考文献
http://www5.ocn.ne.jp/~miyairi/miyairi01-1.htm
11月25日(木)…有害貝類:その3

またまた、寄生虫の話になってしまって申し訳ないのですが…。

「日本住血吸虫」という寄生虫は、ミヤイリガイ(別名:カタヤマガイ)を中間宿主として、
後に人体にも寄生し、発病します。
広島県片山村でこの奇病が多く見られたことから、「片山病」と名づけられました。
患者は、食欲不振、全身倦怠、下痢、腹部膨満、肝臓腫大をおこし、
病気が進行すると、腹水貯留、浮腫、黄疸、貧血などの症状を呈し、死亡することもあります。
つまり、腹が臨月のように膨れ、次第に体が衰弱し、死に至るという恐ろしい奇病でした。

…でした、ということは?
この話まだ続きます。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/04/04100.html
http://www.mmd.co.jp/monohito/katayamabyou.html
http://www3.wind.ne.jp/toccha/mushi/mushi_link/mushi_12.html

11月24日(水)…有害貝類:その2

アンボイナは大きい個体で13cmにもなり、(おそらく、殻高が)
非常に強い毒をもっています。
刺された時の症状としては、腫ができて腫れ上がり、吐き気、発熱、下痢を伴い、
更には呼吸困難、血圧低下などを招き、その死亡率は5割に達すると言われています。
大型の個体に刺された場合には数時間で死亡したという記録も残っているため、
その毒性の強さから沖縄ではアンボイナのことを「ハブガイ」と呼んでいます。
日本では紀伊半島、伊豆諸島以南の海岸に生息します。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/04/04100.html
http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~coral/BiologyI/ConusEvolution.htm

11月23日(火)…有害貝類:その1

貝類の中には、敵から自分の身を守るためだけではなく、
獲物を捕らえるための能力を身につけた貝も存在します。
イモガイ科の一種であるアンボイナは毒を使って捕食する貝です。
銛のようなかたちの歯舌(しぜつ)に相手を痙攣させる神経毒を詰め、
それを刺し、痙攣させて捕食します。
夜、岩礁の隠れ場所で寝ている小魚を探し出して毒で痙攣させ、丸呑みにするそうです。
相手は魚類かー。
たくましい貝もいるものです。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/04/04100.html
http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~coral/BiologyI/ConusEvolution.htm

11月22日(月)…貝殻の退化:その2

貝の仲間の中には、殻によって身を守ることを放棄した生物もいます。
先日ご紹介したアメフラシやタツナミガイは紫色の汁を分泌し、相手を追い払います。
ウミウシ類などは、他の生物が自身を食べたときにまずいと感じるように進化してきました。
また、頭足類(イカやタコ)などは墨の利用や、体色の変化によるカモフラージュ、
ジェット推進を使い自身の移動能力を高めるなどして、捕食者から逃れる術を手に入れています。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/02/02700.html

11月21日(日)…貝殻の退化:その1

…え〜と、
貝の各部名称はとりあえずもういいんじゃないかってことで…。

さて、今日は貝殻の退化の話です。
貝類があのように硬い殻をもつのは、言うまでもなく外敵から身を守るなど、安全を確保するためですが、
あまりに重い殻を作ると移動が困難になり、また、殻を作るには必要以上のエネルギーが消費されることになります。
殻を作ることなく体を保護する方法を確立することができれば、それに越した事はないのです。
さらに、その方が経済的であると言うことができます。

そして、殻の退化が起こり始めます。
その第一段階は殻の小型化です。
例えば、スカシガイ類ミミガイ科などは肉を完全に納めることができません。
そして、小型化した殻はしばしば内在化と薄質化が起こります。
ベッコウタマガイ類の殻は完全に外套膜に覆われています。
後鰓類では多くの分類群が退化的な殻を持ちます。
タツナミガイの殻も外からは見えません。
さらにアメフラシ類はほとんど石灰化されていない膜状の殻をもっています。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/02/02700.html

11月20日(土)…貝の各部名称:その15

循環器系は主に開放血管系です。
心臓から出る動脈と心臓に戻る静脈の間が閉じた管にはなっておらず、
血体腔(けったいこう)とよばれる広い空間の間を血液が流れます。
呼吸色素はヘモシアニンです。
ただし、アカガイ類などのように例外的にヘモグロビンを利用するものもあります。
心臓は2心房、1心室が基本形です。

<開放血管系>
動脈と静脈の間が毛細血管で連絡せず、血液が動脈から直接、組織内に放出される形式の血管系。
軟体動物・節足動物に見られる。脊椎動物に見られる閉鎖血管系に対するもの。
つまり、体中の組織は、血液の中にどっぷり浸っているため、
開放血管系をもつ動物では、組織液、血液、リンパ液という区別はできない。

<ヘモシアニン>
節足動物及び軟体動物にみられる酸素を運搬する機能を持つ銅タンパク。
酸素をふくむと青くなるが、実際には色が薄くて見えにくい。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/01/01100.html
http://db.gakken.co.jp/jiten/ka/101550.htm
http://www.gsu.edu/~bioasx/closeopen_j.html
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/tjb/Vol2No2/TJB200302199900754.htm
http://forum.nifty.com/fchem/log/rika/1609_main.html

11月19日(金)…貝の各部名称:その14

軟体動物の場合、心臓を取り囲む囲心嚢(いしんのう)、排出器官の内腔、生殖器官の内腔が真体腔を構成しています。
すなわち、軟体動物の真体腔は尿と生殖物質の形成の機能を担っています。
腎管は一方は囲心嚢につながり、他方は外腎門(がいじんもん)を通じて体外に開口します。
排出の第一段階では、心臓の内側から囲心嚢内へ向けて血中から排出物質が濾過され、
原尿(尿のもと)が形成されます。
原尿は腎囲心嚢連絡管を通じて腎管へ送られ、
栄養物の再吸収と排出物質の分離が行われた後に尿として外腎門から排出されます。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/01/01100.html

11月18日(木)…貝の各部名称:その13

今日は貝の排出器官についてです。
貝の排出器官は「腎管」(じんかん)と呼ばれる形式です。
腎管とは真体腔性の排出器官のことで、原体腔性の「原腎管」(げんじんかん)と対比されています。

・真体腔性と原体腔性
「体腔」(たいこう)とは、消化管と体壁との間にある空所のことを言います。
体腔は、体腔の有無・構造によって動物を3つのグループに分けています。
体腔のない「無体腔」、空所はあるが中胚葉組織で裏打ち(固定)されていない「擬体腔」、
体腔があり、中胚葉由来の細胞層に裏打ちされている「真体腔」の3つに区分し、
「無体腔」+「擬体腔」=「原体腔」としてまとめていて、
中胚葉由来の細胞層に裏打ちされている「真体腔」と、されていない「原体腔」を対としています。

<中胚葉(ちゅうはいよう)>
受精卵から発生が進んで、のう胚になったとき、外胚葉と内胚葉の間にはさまっている細胞群。
さらに発生が進むと、この細胞群から骨・筋肉・血管系・排出器・生殖器などができてくる。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/01/01100.html
http://db.gakken.co.jp/jiten/ta/309550.htm
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8B%95%E7%89%A9
11月17日(水)…貝の各部名称:その12

こいつの正体が判明しました。
どうやら晶体(しょうたい)というらしいです。(あ、シャレになってる!)
晶桿体(しょうかんたい)ともいうらしく、中には消化酵素が含まれています。
二枚貝の消化管は単純で、唾液腺や食道腺は発達せずに、
胃に1対の消化腺が存在するのみです。それが晶体なのです。
晶体は全ての二枚貝に存在しています。
ちなみに、食べても問題はないとのことです。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/01/01400.html
11月16日(火)…貝の各部名称:その11

昨日の続き話。

貝は「歯舌」と呼ばれる摂食器官で餌を取っている、と言いましたが、
二枚貝類には歯舌も口球もありません。
さらには頭部もなく、単純に口が開くのみです。
二枚貝の摂食方法は、鰓から取り込まれた餌粒子を「唇弁」(しんべん)と呼ばれる器官を使い、
餌の大きさ・種類などを判別し、餌に適合する粒子は繊毛運動により口へ運ばれ、
餌に適合しない粒子は殻外へと排出されます。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/01/01400.html
11月15日(月)…貝の各部名称:その10

貝類、イカ、タコなどの軟体動物は、頭部に「歯舌」(しぜつ)と呼ばれる特有な摂餌器官を持っていて、
口球と呼ばれる筋肉を動かし、餌を削り取ります。
このように歯舌によって選択的に餌を摂取することをgrazingといいます。
使い古された歯舌は捨てられていきますが、
喉の奥の「歯舌嚢」(しぜつのう)という器官で次々に作られて、前の方へ押し出されてくるそうです。

参考文献
http://research.kahaku.go.jp/zoology/kaisei/hp-3/kai/
11月14日(日)…貝の各部名称:その9

呼吸器官は1対の櫛鰓が基本型です。
櫛鰓とは、鰓が櫛のような形状をした軟体動物特有の呼吸器官です。
ただし、櫛鰓が消失して二次鰓に置き換わるものもあります。
二次鰓は、一本一本の鰓弁に無数の二次鰓弁という板状のものが並んでいます。
これは、鰓がさらに二次的に枝分かれし、より広い表面積を保ち、
大気中よりも遥かに少ない水中の酸素をより効果的に吸収するためです。
陸生種では鰓が完全に退化し、外套腔が肺の役割を担います。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/01/01100.html
11月13日(土)…貝の各部名称:その8

今日からは殻の話ではなく、
殻の内部、つまり、貝の体についての紹介です。

貝の体の表面は外套膜(がいとうまく)と呼ばれる膜に包まれています。
この外套膜が体の縁に張り出して、外套腔(がいとうこう)と呼ばれる空所を形成します。
外套腔には櫛鰓、嗅検器、鰓下腺(パープル腺)、肛門、排出器官の開口部、生殖器官の開口部などが存在します。
そのため、外套腔は呼吸、摂餌、排泄、生殖において非常に重要な役割を果たしています。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/01/01100.html
11月12日(金)…貝の各部名称:その8

縦肋・横肋はサカマキガイでははっきりと読み取ることが出来ないようです。
縦肋はかすかに見えるような…気がします。
よりはっきりと縦肋が見えるのはタニシです。

これを確認することによって年齢が判別できるかというと…。

1年に1回強い成長輪が形成される場合は年輪と呼ばれます。
しかし、同種の貝でも生息環境の違いによって成長輪のでき方が異なるため、
ある成長輪が年輪であるかどうかを特定することは、大変困難であるとされているそうです。

参考文献
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/publish_db/2002Shell/02/02100.html
11月11日(木)…貝の各部名称:その7

貝が成長していくにつれ、殻もそれに伴って大きくなっていきます。
殻が成長した形跡として残る線のことを、「縦肋」・「横肋」と呼んでいます。
縦肋(じゅうろく):貝の成長よって縦にできた成長の跡のこと。
横肋(おうろく):貝の成長によって横にできた成長の跡のこと。螺肋ともいう。

11月10日(水)…貝の各部名称:その6


上部が螺塔、
下部が体層となります。
ちなみに、体層の次に大きな螺層(下から2番目の螺層)のことを「次体層」といいます。
11月9日(火)…貝の各部名称:その5

殻口から一回りした、一番大きな螺層のことを、「体層」といい、
最も下部の縫合から殻頂までの長さを、「螺塔」といいます。
つまり、「殻高」=「体層」+「螺塔」となります。
コレについても明日、画像を用いてご説明いたします。
11月8日(月)…貝の各部名称:その4くらい

久しぶりに貝の各部名称です。
貝の殻の溝のことは「縫合」というらしいです。
で、殻の層のことを「螺層」と言います。
つまり、「螺層」と「螺層」の間に「縫合」があります。
11月7日(日)…貝の寄生虫について:その7

昨日は「広東住血線虫」の恐ろしさをご紹介しましたが、
寄生虫はその名のとおり、宿主に寄生して生きているわけですので、
通常、宿主が死ぬと寄生虫自身も死んでしまうわけなのです。
そのため、宿主に大きなダメージを与えない程度に
栄養をもらい細々と生きている寄生虫が多いと、以前ご説明したことがありました。
しかし、この「広東住血線虫」の場合は宿主(人の場合)の脳に侵入し、
宿主が死に至るまで活動(脳を食べる)を続けます。

この場合、広東住血線虫は、
脳に侵入した時点で外に出ることができず、繁殖には不利になります。
さらに、宿主が死んでいるため、また新たな宿主を見つけるためには、
自身がある程度の移動能力を持ち合わせている
か、
死んだ宿主を捕食する生物が現れるまで、ジッと待てるだけの体力を持っている
ことが必要となります。
しかし、宿主がどんな場所で死ぬのかは不確定です。
もし、宿主が生物に乏しい地で死んでしまったとしたら、
この寄生虫は、次の宿主を見つけることが出来ずに死んでしまうことでしょう。
そう考えると、広東住血線虫のこのような行動は
繁殖に有利な環境を選択する、という一般的な生物としての本能から逸れている
ようにも思われます。

…これは、1つの仮定ですが、
広東住血線虫は生物としての本能より、
脳の味を優先させる「グルメ」なのかもしれません。コワァ…。
11月6日(土)…貝の寄生虫について:その6

実は、タニシの中でも「ジャンボタニシ」と呼ばれる
タニシ(スクミリンゴガイ)や、陸生貝には
肝臓吸虫などよりも危険性の高い寄生虫が寄生している場合があるのです。

それは「広東住血線虫」と呼ばれる寄生虫で、
成虫はドブネズミやクマネズミなどの
肺動脈内(心臓から肺にいく血管)に寄生する体長22〜23mmの線虫です。
肺動脈内に産み落とされた虫卵は、肺の毛細血管内で孵化し幼虫になり、
肺胞から気管、食道、胃、腸を経て糞として外界に出ます。
この幼虫が中間宿主に経口的あるいは経皮的に入ると、体内で発育し感染幼虫になります。
これをネズミが食べると肺動脈内で成虫になります。
ヒトが幼虫に感染した中間宿主を食べると、脳や脊髄の血管や髄液の中に寄生し、
髄膜脳炎の症状を起こしますが、幼虫自身は成虫になることなく死滅します。
中間宿主として最も重要なのはアフリカマイマイ
(東南アジアや沖縄、小笠原、奄美大島等に生息する大型のカタツムリ)で、
その他数種のマイマイやナメクジが中間宿主になります。
また、アジアヒキガエルなどのカエルや淡水産のエビ、ジャンボタニシなども感染源になります。
主として口からヒトの体内に侵入した幼虫は、
胃や腸の壁から血液やリンパ液により全身に回り、
やがて脊髄や脳などの中枢神経系に集まってきます。
そして、幼虫が脊髄から脳に侵入すると
好酸球性髄膜脳炎(白血球の一種である好酸球の著しい増加を伴う髄膜炎及び脳炎)を起こします。
激しい頭痛、発熱、顔面麻痺、四肢麻痺、昏睡、痙攣、神経異常などの髄膜脳炎の症状が
約2週間ほどの潜伏期(幼虫が体内に入ってから症状が出るまでの期間)の後に出現すると言われています。
2000年6月には沖縄で、日本で初めての死亡例が報告されています
なお、特効的な治療法はなく、治療の主体は対症療法しかありません。
カタツムリやナメクジ、タニシ、カエルなどを生で食べてはいけません。
火を通せば安全ですが、東南アジアなどこの病気が多い地域ではこれらのものを口にしないほうが安全です。
ナメクジがよく付くキャベツやレタスなどの生野菜は、
しっかりと洗ってから調理してください。
ナメクジが通った経路にはナメクジの粘液が残っていますので、
そこに寄生虫が付着している可能性があるためです。
また、カタツムリやナメクジ、それにカエル等にはむやみに触れないこと。
このようなものに触れた後には、よく手を洗うことを習慣付けるようにしてください。

参考文献
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/5f/kanton.html
11月5日(金)…貝の寄生虫について:その5

今日はタニシの寄生虫についてです。
タニシには肝吸虫(Clonorchis sinensis)
などが寄生するらしいです。

<肝吸虫>
第一中間宿主はマメタニシ、終宿主は人、犬、猫、ネズミの肝臓の胆肝枝
病害性:成虫は胆管枝に寄生するため、
胆汁のうっ血を起こし、黄疸や腹水などを併発する。
慢性期には肝硬変になる。

北大路魯山人がタニシを好物としていたことは有名ですが、
昭和34年、タニシを食したことから感染した肝臓ジストマ(ケルカリア幼生)の
肝硬変で76歳の生涯を終えたことも有名です。

参考文献
http://www.net.systemk.co.jp/~kawanina/tansui/tanisi/tanishi.html
http://www.agri.pref.kanagawa.jp/suisoken/naisui/news/kisei.htm
11月4日(木)…貝の寄生虫について:その4

「病態」
ウエステルマン肺吸虫症の場合は肺実質を破壊し、
虫体の周囲は反応性慢性炎症による間質組織の増殖がみられます。
喀血、チョコレート色の汚い血痰が続きますが、全身状態は比較的良いようです。
ときに膿胸、自然気胸がみられ、
胸部X線陰影は輪状影、結節影、浸潤影などの所見を呈します。
喀痰は濃厚粘稠、黄褐色または暗褐色です。
迷入による脳肺吸虫症では頭痛、嘔吐、てんかん様発作、視力障害、
運動痲痺など髄膜炎あるいは脳腫瘍症状を呈し、
皮膚肺吸虫症では皮膚に腫瘤を形成します。
宮崎肺吸虫症の場合は胸腔内に生息し、
ときに胸膜に侵入を試みるため、肺実質あるいは胸膜に損傷を来し、
自然気胸と胸水貯留を主症状とします。通常、血痰はありません。
現在、その治療法として、
ビチオノール投与の治癒率は約98%、プラジカンテル投与の治癒率は約96%ですが、
投与日数が短いこともあり、第一選択薬としてはプラジカンテルを用いています。

参考文献
http://jsp.tm.nagasaki-u.ac.jp/~parasite/paragonimiasis.html
11月3日(水)…貝の寄生虫について:その3

日本では5種類の肺吸虫が知られていますが、
人体感染例はウエステルマン肺吸虫(Paragonimus westermanii)と、
宮崎肺吸虫(P. miyazakii)の感染が主体です。
感染はサワガニ・モクズガニ・アメリカザリガニなど
第2中間宿主内のメタセルカリアを摂取することによりますが、
淡水産カニを生食することはないので、調理不十分なカニを食べるか、
調理の際、まな板や包丁に飛散したメタセルカリアをサラダなどを介して、
摂取して感染することが多いようです。
また、モクズガニの老酒漬けから感染した例もあります。
その他、最近は幼虫が筋肉内に寄生しているイノシシなど待機宿主の肉を生食して
感染する症例も多数報告されています。
ウエステルマン肺吸虫は肺の中に虫嚢を形成しますが、
宮崎肺吸虫が人に摂取された場合、
通常は肺実質内に入ることはなく胸腔内にて生息します。
日本では北海道を除く各地にみられ、
特に四国・九州などに患者が多くみられていましたが、
最近は治療法の発達によりかなり減少してきています。
現在、その症例数は年間約5〜15例程度です。

参考文献
http://jsp.tm.nagasaki-u.ac.jp/~parasite/paragonimiasis.html

11月2日(火)…貝の寄生虫について:その2

<肺臓ジストマ>
東南アジアの温帯・熱帯に分布する吸虫類の寄生虫。別名肺吸虫。
体長5〜16mmで、体型は楕円形。雌雄同体。
わが国でも暖地の山間部にみられる。
ヒトや他の哺乳類の肺に寄生する。
卵は約20日で幼虫になり、第一中間宿主のカワニナの体内にはいって成長し、
第二中間宿主のモクズガニ・サワガニなどの体内に移り、
これを生で食べた哺乳類の肺に寄生して成虫となる。
血痰・喀血、慢性のせきなど肺結核に似た症状をおこす。

参考文献
http://db.gakken.co.jp/jiten/ha/500670.htm
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?id=1544130-0000&kind=jn&mode=5

11月1日(月)…貝の寄生虫について

日本では1926年の初発生以来、1990年までに65例の報告があり、
年齢的には、小児から老人までと層が広く、職業別では農業・酪農業者に多くみられます。
近年ではウシを取り巻く環境の変化により、寄生率が低下の一途を辿っているため、
一種の地方病的存在になりつつあります。
しかし、輸入牛の着地検査で高い寄生が認められており、
また、奈良公園のシカに大発生した過去の経緯から、
野生動物が保有宿主(reservoir host)としての役割を担っていると考えられます。
最近、アイルランドでは緬羊の肝蛭症が大発生し、
被害額は2千5百万ユーロ(約33億円)にも上りました。
流行源は保有宿主の野ウサギと推定されています。
耕畜連携の有機畜産が注目され、
安全な国産稲ワラの高度利用法も再検討されている昨今、
環境に優しい農法の展開により肝蛭症が再興する可能性もあります。

肝蛭症の予防法として、
・野生のクレソンは食べない。栽培されたものをよく洗浄してから食べる。
・水辺の山菜の生食を避け、調理する前に良く洗い、熱湯に浸す。
・ウシなどの肝臓や消化管の生食はしない。
・家庭菜園や花壇の肥料には堆肥化した牛糞か市販のものを用いる。
などが挙げられます。

参考文献
http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/kantetu/kantetu.html
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