貝類の部位名称&器官解説編:用語「貝」説!

製作:前橋工科大学大学院 阿部 泰宜

第十回:貝類の部位名称&器官解説編

・貝類の部位名称

・貝類の器官解説



貝類の部位名称

主に巻貝についてご紹介していくので、二枚貝についてはご容赦ください…。

まずは、サカマキガイの殻を使ってご紹介していきます。
まず、殻の最も上端にあたる部分、、茶色の→で示した部分を殻頂(かくちょう)といい、
殻の最下端、水色の→で示した部分を水管溝(すいかんこう)
または前溝(ぜんこう)といいます。

そして、殻頂から水管溝までの長さを殻長(かくちょう)といいます。
つまり、これが貝の大きさを表す言葉なのです。
貝の大きさをいう場合には、「体長」ではなく、この「殻長」を使うようにしてください。
ちなみに、貝殻の幅のことを殻径(かくけい)、または、殻幅(かくふく)といいます。
二枚貝の場合には、「殻径」を使った方が分かりやすいかもしれません。

で、貝の殻の溝で、黄緑色の→で示した部分を縫合(ほうごう)といいます。
このサカマキガイの画像からは、3本ほどがはっきりと確認できます(元々は1本です)。

また、貝の殻の口のことを、殻口(かくこう)といいますが、
貝の口の内側でなんかピローンとなっているところで、赤丸で示したのが内唇(ないしん)
口の外側の方で、青丸で示したのが外唇(がいしん)といいます。
サカマキガイの場合、内唇は右側にきています。
これは殻の巻き方が左巻きだからであって、右巻きの貝の場合には、内唇は左側にきます。

続いてはヒメタニシの殻を用いてご説明してみます。
貝の殻の層のことを螺層と言います。
つまり、「螺層」と「螺層」の間に「縫合」があります。

殻口から一回りした、一番大きな螺層のことを、体層といい、
最も下部の縫合から殻頂までの長さを、螺塔といいます。
画像の赤⇔内が「体層」で、青⇔内が「螺塔」となっています。
つまり、「体層」+「螺塔」=「殻長」となります。
ちなみに、体層の次に大きな螺層(下から2番目の螺層)のことを「次体層」といいます。

さて、貝が成長していくにつれ、殻もそれに伴って大きくなっていきます。
殻が成長した形跡として残る線のことを、「縦肋」・「横肋」と呼んでいます。
縦肋(じゅうろく)は、貝の成長よって縦にできた成長の跡のことで、
横肋(おうろく)は、貝の成長によって横にできた成長の跡のことです。
横肋は、螺肋とも呼ばれます。
縦肋・横肋はサカマキガイでははっきりと読み取ることが出来ないようですが、
ヒメタニシの縦肋は割とはっきりとしていて、画像のピンクの線などが、縦肋となっています。
横肋はかすかに見えるような…気がしますが、あまりはっきりとしていませんね…。

ちなみに、1年に1回強い成長輪が形成される場合は年輪と呼ばれますが、
同種の貝でも生息環境の違いによって成長輪の形成が異なるため、
ある成長輪が年輪であるかどうかを特定することは、非常に困難であるとされています。

あ、あと、サカマキガイになくて、タニシにあるものとして、殻口を塞ぐ「蓋」があります。
俗称で「蓋」と呼ばれているわけではなく、学術的な名称も「蓋」だそうです。
この他にも貝殻の各部の名称には様々なものがありますが、非常に細かなものになっていますので、
ここでやめておきます。
興味のある方は、調べてみるもの一興です。



貝類の器官解説

続いて、殻の内部、つまり、貝の体についてのご紹介していきます。
難しい言葉が多く登場します。正直なところ、製作者もよく分かっていません。
お許しください…。

貝の体の表面は外套膜(がいとうまく)と呼ばれる膜に包まれています。
この外套膜が体の縁に張り出して、外套腔(がいとうこう)と呼ばれる空所を形成します。
外套腔には櫛鰓、嗅検器、鰓下腺(パープル腺)、肛門、排出器官の開口部、生殖器官の開口部などが存在しているため。
外套腔は呼吸、摂餌、排泄、生殖において非常に重要な役割を果たしているそうです。

呼吸器官は、1対の櫛鰓が基本型となっています。
櫛鰓とは、鰓が櫛のような形状をした軟体動物特有の呼吸器官です。
ただし、櫛鰓が消失して二次鰓に変化した種も存在します。
二次鰓は、1本1本の鰓弁に無数の二次鰓弁という板状のものが並んでいます。
これによって、鰓がさらに二次的に枝分かれして立体的になるため、より広い表面積を確保でき、
水中の酸素をより効果的に吸収することが可能です。
陸生種では鰓が完全に退化し、外套腔が肺の役割を担っています。

貝類、イカ、タコなどの軟体動物は、頭部に「歯舌」(しぜつ)と呼ばれる特有な摂餌器官を持っていて、
口球と呼ばれる筋肉を動かし、餌を削り取って食しています。
このように、歯舌によって選択的に餌を摂取する手法は、grazingと呼ばれています。
使い古された歯舌は捨てられていきますが、
喉の奥の「歯舌嚢」(しぜつのう)という器官で次々に作られ、前の方へ押し出されてくるそうです。

さて、二枚貝の場合には、歯舌や口球、さらには頭部もなく、単純に口が開くのみです。
そんな二枚貝の摂食方法は、鰓から取り込まれた餌の粒子を「唇弁」(しんべん)と呼ばれる器官を使い、
餌の大きさ・種類などを判別し、餌に適合する粒子を繊毛運動によって口へと運び、
餌に適合しない粒子は殻外へと排出するという摂食方法をとっています。

貝類の循環器系は、主に開放血管系です。
これは、節足動物・軟体動物などに見られる血液循環の一型で、
毛細血管を欠き、血管系は末端が開放され、血体腔(けったいこう)とよばれる広い空間の間を血液が流れています。
動脈中の血液は、一度、組織間へ流れ出てから静脈に集まります。
つまり、体中の組織は血液で満たされている状態です。
これと対をなすのが、閉鎖血管系です。
脊椎動物・環形動物などにみられる血液循環の一型で、
心臓から出た一本の血管が毛細血管系へと分岐し、再び収斂(しゅうれん)して一本の静脈となって心臓へもどる血管系です。
血液の出口はなく、血漿の一部とリンパ球などは血管壁から滲出しますが、
赤血球と血漿の大部分は血管の中だけを循環しています。

それぞれの血管系の特徴として、
開放血管系の場合には、その構造が簡潔である代わりに、
皮膚組織を傷つけられ流血してしまうと、止血しづらいという短所を持っています。
一方、閉鎖血管系の場合には、血管を体中に張り巡らせる手間は掛かりますが、
もし流血した場合であっても、毛細血管を収縮し血液の流れを止めることで、スムーズに止血することが可能です。
そういった考察を踏まえると、開放血管系を持つ動物の多くが殻を持つ動物であることも注目すべきポイントといえます。

呼吸色素はヘモシアニンで、節足動物や軟体動物にみられる酸素を運搬する機能を持つ銅タンパクです。
酸素を含むと青くなりますが、色が非常に薄いため、実際にはほぼ無色にしか見えません。

ただし、アカガイ類などのように、鉄を主成分としたヘモグロビンを利用する種も存在します。
心臓は2心房、1心室が基本形となっています。

参考文献:
Micro shells 貝類データベース
蒲郡の貝
田邊鉱物化石コレクション
貝の博物誌

前橋工科大学梅津研究室HP阿部泰宜HP愉「貝」な仲間たち!用語「貝」説!貝類の部位名称&器官解説編