アワビ編:愉「貝」な仲間たち!

製作:前橋工科大学大学院 阿部 泰宜

第五回は、なぜか突然にアワビを取り上げます…。



エゾアワビ
学 名 Haliotis discus hannai
和 名 エゾアワビ
腹足綱
前鰓亜綱
古腹足目
オキナエビス超科 ミミガイ科

突然、海の貝に進出です。
え〜と、これには深いわけがあるのですが…。

さて、アワビの分類をご覧になって気づかれた方がいらっしゃるかもしれません。
そんなあなたはなかなかの貝マニアです。
注目すべきは腹足綱という点です。
ちなみに「ふくそくこう」と読みます。
これが示すのは巻貝ということです。
そうです、アワビは二枚貝ではなく、サカマキガイなどと同じように巻貝なのです。

さて、分類に関してですが、
大型のアワビ類と小型のトコブシ類を別属に分類する説もあるようです。
しかし、現在ではミミガイ科(Haliotidae)に属する種を全てHaliotis属とするのが一般的です。
種レベルの分類についても未だ流動的な部分がありますが、
世界中に70種程度、日本には9種2亜種が生息するとされています。
そのうち、クロアワビ、エゾアワビ、メガイアワビ、マダカアワビ、
トコブシ、フクトコブシの4種2亜種が漁獲の対象となっています。
エゾアワビは、クロアワビの北方種と考えられていて、エゾアワビだけが寒流域に生息し、他の種は全て暖流域に棲んでいます。

アワビ類は雌雄異体であり、放卵放精型の繁殖を行います。
1産卵期に同一個体が何回放卵・放精するのかについてはよくわかっていません。
雌雄の判別は外見からではほぼ不可能で、9〜11月にかけて産卵し、産卵時期になると生殖腺(肝)が発達し、
その色の違いで雌雄を見分けます。
雄の肝はクリーム色に近い茶色、雌のものは緑色になります。

エゾアワビでは産卵期に台風の接近、通過に伴い大規模な時化がおこると、放卵放精が一斉に起こることが知られています。
このように天然では海が時化(しけ)た後に良く産卵が確認できるようですが、
時化に伴って生じるどのような変化が具体的に放卵・放精を誘発するのかは明らかにされていません。
種苗生産施設では、時化を待っていられませんので、人工的に産卵させます(産卵誘発)。
かつては温度刺激(水温を上げたり下げたりする)、
乾出刺激(空気中に出してからまた水中に戻す)などで産卵させていたようですが、
成功する率はあまり高くなかった様です。

実は、放卵放精型の繁殖をおこなうアワビにとっては、
雌雄が放卵放精を同期させることが受精に不可欠なのです。

今では、紫外線を照射した海水や過酸化水素を添加した海水が配偶子放出を誘起する現象が発見され、
同時に親貝の飼育方法も発表されたため、その後のアワビの種苗生産が、飛躍的に進歩しました。

アワビは受精後、15〜20時間でトロコフォアー幼生としてふ化し、
ベリジャー幼生の浮遊期を経て、約6日後に着底すると考えられています。
殻長6mmまでは、ウルベラなどの微細藻類を摂餌し、
その後、ワカメ・コンブなどの大型海藻や配合餌料が主餌料となります。
成長は環境条件などによって異なり、発生から1年後に平均で25mmにまで成長します。

養殖の稚貝には餌として、褐藻類を与える物と、人工飼料やアラメ等を与える物があります。
前者は稚貝放流事業で放流される物が殆どで、成長した物でも稚貝が天然物か否か全く見分けが付きません。
後者は、殻が青〜緑色になっており、成貝となってもこの色が消えることはありません。
そのため、殻頂部の色はアワビが天然ものか養殖放流ものかを見分ける印として用いられ、グリーンマークと呼ばれています。





イヨアワビ
和 名 イヨアワビ
腹足綱
前鰓亜綱
古腹足目
オキナエビス超科 ミミガイ科

イヨアワビとは、ハイブリットアワビと呼ばれるアワビのことで「交雑種」のことを言います。
エゾアワビとメガイアワビの交雑種で新品種です。
コスモ海洋牧場株式会社で生産し、養殖専用品種として販売しています。
現在までの飼育実績では、外見および味は高級あわびのエゾアワビと遜色なく、
エゾアワビ、メガイアワビ双方の良い特徴を備え、
エゾアワビに比べ成長が速く環境適応能力に優れた丈夫で飼育しやすいアワビとされています。

アワビの主な天敵として、タコ、ヒトデ、フグ(キタマクラ)やベラ、カニや伊勢海老が挙げられます。
主に夜行性の物が多く、日中は岩の間や砂の中に潜っています。
ちなみに、アワビの穴からは排泄物が出るそうです。
また、成長するときに液を出し、一回り大きくなったときのつなぎ目が穴になるということです。
昭和30年代には60トン以上漁獲されていましたが、
近年、漁獲量は減少を続け、10〜20トンと低い水準になっています。
ここ2年は30トン前後とやや増加していますが、
岩礁域の海藻が少なくなったことが漁獲量減少の一因として挙げられています。
そのため、養殖技術の開発・整備が急がれています。

参考文献
http://www.pref.miyagi.jp/saibai/YUTAKANA/saibaigyogyou/taisyousyu/awabi/seikatusi-awa.htm
http://otolith.ori.u-tokyo.ac.jp/2001/ind/kawamura/abalone2.htm
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AF%E3%83%93
http://www.pref.iwate.jp/~hp5507/awabi/awabi-new.htm
http://www.infoeddy.ne.jp/~ishima/awabi/

画像提供
環境技術研究所

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