| 磁気処理による水中の窒素挙動に関する実験的研究 |
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前橋工科大学大学院 学生員 ○阿部真也 前橋工科大学 正会員 梅津 剛 |
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1.はじめに 現在、水環境分野において様々な水処理手法が用いられている。その中で物理化学処理手法の一つとして永久磁石を利用した磁気処理がある。磁気処理とは、磁石のN極とS極の間(磁場)にある速度以上で水を通す(図-1)ものである。磁気処理水は、様々な特性を示すと報告されている。具体的には、還元性が増加することや植物の成長の促進などが報告されている。磁気処理によるこれらの効果発現の原因として主要なものの一つは、電解質である水が磁場を横切ることによる起電力の発生に基づくものではないかと考えられている。しかし、現段階でそのメカニズムは解明されていない。また、その処理効果に再現性が得られないなどの問題点も抱えている。 このような特質を持った磁気処理であるが、著者らが磁気処理を水処理手法として注目している理由としては以下のものが挙げられる。まず一つめに、永久磁石の磁力の劣化は1年間に0.1〜0.3%1)と大変少ないため長期間の使用に適しメンテナンスの問題が少ないのではないかと考えられる。二つめは、磁場に水を通すだけでその効果が得られるためランニングコストも低いのではないかと考えられる。著者らは、水処理を行う中でメンテナンス性とランニングコストを大変重要視している。よって、この二つに問題が少ないと考えられる磁気処理は水処理手法として大きな可能性を持っていると言える。 |
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2.実験T 2.1実験目的 著者らが以前から行っている磁気処理実験において、水中の窒素成分が磁気処理により特別な挙動を示す2)という知見を得た。そこで本実験は、磁気処理の処理効果による水中の窒素成分の挙動の詳細なデータの取得を行い、水中の窒素成分の挙動に与える磁気処理の効果を明確にすることを目的とするものである。 2.2実験方法 本実験は、図-2に示される装置を用いる。この装置を2つ用意し、片方の装置は磁石を使用し、もう片方の装置では磁石を使用しない比較実験とする。本実験装置の特徴は、容量が極めて小さいことである。装置の容量を小さくした理由としては、処理量を減少させることで磁気処理による影響を現れやすくするためである。実験条件は水量2.5L、循環ポンプによる単純循環を行いその流量は2.83cm3/s、磁石は570mTのものを使用する。実験に用いる水は水道水を1日爆気し、アンモニア溶液を加えアンモニア態窒素濃度を4.65mg/Lとしたものを使用する。水質の測定項目は、アンモニア態窒素濃度、亜硝酸態窒素濃度、硝酸態窒素濃度する。 2.3実験結果と考察 亜硝酸態窒素濃度は図-3のように変化した。磁石を用いた装置において全体的に亜硝酸態窒素濃度が低くなるという結果が得られた。アンモニア態窒素濃度は、磁石の有無にかかわらず同じように推移するという結果になった。硝酸態窒素濃度は、磁石の有無で変化に違いを見せたが亜硝酸態窒素から硝酸態窒素に変化をすることを踏まえると特別問題視されるような変化は見られなかった。これらの結果から磁気処理は、亜硝酸態窒素の増加を抑制させることがわかった。しかし、そのメカニズムの解明には至らなかった。 |
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3.実験U 3.1実験目的 実験Tより水中の窒素成分の中で亜硝酸態窒素が磁気処理による効果を受けやすいことがわかった。しかし、メカニズムの解明ができなかったため、より顕著に効果が現れると考えられる装置を製作し実験を行う。本実験は、亜硝酸態窒素の抑制に及ぼす磁気処理効果のメカニズムを解明するものである。また、磁気処理の定義としては、流速がある一定以上であるとされているが、磁場を流れる水の流速を上昇させると流れは、乱流となり磁場を通過する際に必ずしも磁場に対し直角に通過できるとは限らない。これは、磁場に対し直角に水が流れなければならないという定義を満たせないことになる。そのため、流速と流れの状態と磁気処理効果の関係性についても考察を行う。 3.2実験方法 本実験には図-4に示される装置を用いる。この装置の特徴は磁石と磁石の間隔を狭くすることでより強い磁場を作り出せることである。図-5に示されるように磁石と磁石の間隔は1.5mmとし推定される磁石間の中心点における磁力は700mT程度であると考えられる。実験条件は水量5L、流量は実験ごとに変化させ磁気処理を受けやすい流速を求め、流れの状態の推定を行う。また使用する水は人工的に作った亜硝酸態窒素濃度の高い水とする。水質の測定項目はアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸態窒素、pH、酸化還元電位とする。 3.3実験結果と考察 実験の時間経過を考慮すると磁気処理により水中の窒素成分に変化が起きたというよりは、水槽表面に生物膜ができその後、流量の違いによる水中の窒素成分の変化に違いが現れたのではないかと考えられる。よって、磁気処理が直接窒素成分に影響を与えているのではなく磁気処理により活性化された微生物がその処理能力を向上させたのではないかと考えられる。 |
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4.おわりに 実験Tより水中の窒素成分の中で亜硝酸態窒素が処理効果を受けやすいことがわかった。また、実験T、Uより著者らの考察するところでは、亜硝酸態窒素は不安定であるために磁気処理による影響を受けやすく、結果的に亜硝酸態窒素の増加を抑制したのではないかと考えられる。今後は、炭素繊維水中濾材を用い微生物の付着しやすい環境を整えた状況で実験を行い、また亜硝酸態窒素以外の不安定な物質を用い磁気処理を行い磁気処理の解明に近づけ、実際の水処理への適用を目指して行きたいと考えている。 |
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キーワード:磁石 磁気処理 窒素挙動 参考文献 1)谷腰欣司:磁石と磁気のしくみ,日本実業出版社,pp.34-35,2000 2)阿部真也・梅津剛:第30回土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集、水環境問題への磁石の利用に関する実験的研究 |