「バルキング(膨化)の話」


活性汚泥をいじっているとバルキングという言葉を
たまにですが聞きます。
でも、言葉の意味が分からない人も多いはず・・・
そこで、今回はバルキングの定義から原因と対策までを調査し ました。

ではまず、バルキングの定義です。

バル キング(Bulking:膨化)」
膨化ともいい、汚泥が沈降しに くくなり、上澄水が得にくくなる現象
沈降性の非常に悪い活性汚泥をバルキング汚泥と呼ぶ。
生物処理でよく用いられている活性汚泥法
泣きどころにもなっているのがこのバルキング現象である。
実際の下水処理場においてバルキングが起こると
沈殿槽で汚泥が分離できず、汚泥があふれ出る。
この現象をキャリーオーバー (carry-over)という。

これだけでイメージ出来ますでしょうか?
おそらく、汚泥を少しでもいじった人でないと分からないかも知れません。
例を挙げると、泥だけの状態がバルキングで泥水がバルキングではない状態といえます。
あくまで視覚的な例ですので勘違いをしないで下さい。
水分量が多くても少なくてもバルキングは起こります。

ではなぜこのような現象が起きるのでしょうか?
それには大きく分けて二つの原因が考えられます。

1つは糸状性細菌の異常増殖に よるもの
もう1つはそれ以外の原因に よるものです。

はじめに糸状性細菌の異常増殖について詳しく説明したいと思います。

「原因1:糸状性細菌の異常増殖
糸状菌または桿状菌が長く連なって糸状に成長する細菌が異常に増殖し
沈殿槽でもこれらが絡み合ったまま沈降もせず圧密もせず上澄水が出来ない。
これが典型的なバルキングである。
畜産汚水の活性汚泥法処理では、よく見られる活性汚泥の異常現象であり、
発泡が伴うことも多い。
原因 は、炭水化物の多量流入、硫化水素の増加、
不溶性無機物の欠乏、曝気不良など多種多様であるが、
畜産汚水処理におけるバルキングの原因は高濃度汚水の投入、
腐敗汚水の投入、投入BOD量の過負荷、曝気槽の溶存酸素不足、
殺菌力を持った消毒薬の混入などが原因となっている。

過 去に多くの研究者が原因・対策・仮説を発表しているが
完全に解明したとは言い切れない。

対処 療法としては原汚水の栄養バランスのチェック
あるいは選択的に糸状菌を殺す薬剤の投与
さらには凝集剤を用いて沈降性を改善するなどがある。
最近は、曝気槽を区切って汚水流入部全体の
1/3または1/4を嫌気的状態にするいわゆる
「嫌気・好気活性汚泥法」が 糸状菌増殖を抑える方法として有力視され
現場でも採用されている。
これは糸状菌増殖の2条件である
1、高BOD濃度
2、高DO濃度

のうちの後者の条件に基づくものである。
ただし、この条件はすべての糸状菌に有効とは限らない。
また、完全混合型の曝気槽よりも、押し出し流れ(Plug Flow)
なるように多段槽に区切った方が糸状菌の発生が少ないという経験則もある。

「原因2:糸状性細菌以外の原因
糸状性細菌の異常増殖以外の原因で
沈殿槽から汚泥があふれ出ることがある。
これには色々なケースがあり、
滞留時間が長かったり曝気過多のために、
本来なら凝集する性質を持つ細菌が
個々の分散状態になってしまうケース。
または、高粘性分泌物のためにかえって
微生物相互の凝集が妨げられるという現象もある。
前者の場合は調整が可能であるが、
後者の場合はいまだに明確な答えが出ていない。

以上が原因と対策です。
現在でも多くの研究者がバルキングの研究を行なっているので
より良い対処法がいずれ生まれることと思います。

ところで、話の節々に出てきた糸状菌は何なのか?
と思った人のために糸状菌についても説明したいと思います。

糸状性細菌(糸状菌:filamentous bacteria・filamentous fungus)」
視覚的に糸状を呈する微生物群の総称。
汚水処理では、浅い水底に糸状の群落をつくり、
あるいは水中に分散した糸状の群体を生じる細菌(bacteria)を糸状性細菌と称している。
活性汚泥の糸状性細菌性バルキング(膨化)を引き起こす
原因微生物(Sphaerotilusがよく知られている)であり、
汚泥の沈降性の良否を判定する重要な指標生物となっている。
また、一般に糸状菌は有機質を多く含む水域に増殖するため、
有力な汚濁指標生物としても利用できる。
画像はこちらで→Google (イメージ検索:糸状性細菌)

最後に、数字で バルキングであるかそうでないかを
判断する指標を紹介して終わりにしたいと思います。
それはSVIで す。

SVI(汚 泥容量指数・汚泥容量指標:sludge volume index)」
活性汚泥の沈降性を示す指標
1gの活性汚泥が占める容積をmlで表し、

 SVI=(SV×10.000)/MLSS

の式で算出される。
SVIは、活性汚泥を30分間静置した場合に、
1gのMLSSの占める容積をml数で示したもので、
SVI=100とは、活性汚泥1gが100mlの容積を 占めることを意味している。
通常の曝気槽では、50〜150が適切な値であり
200以 上だとバルキングしている状態であることを示す。

ちなみにSVIは以前も紹介してました→「私的解説:汚泥と関連用 語」

SVIをもっと詳しく知りたい方はこちらを見てはいかがでしょうか?

山梨大学河 野研究室)・・・・「分かりやすい SVIのはなし」

これ以外の詳しいことはよく分かりません。
以上でした。

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