吸着剤としての活性炭の性質

吸着剤の物理化学的性質は吸着の速度と容量の双方に大きな影響を与えます。
どんな固体でも、潜在的には吸着剤といえます。
その中でも活性炭は優秀な吸着剤です。

吸着剤は、シリカ、アルミナ系の極性吸着剤と、活性炭などの非極性吸着剤に大別されます。
前者は水その他の極性分子を選択的に吸着するのに対し、
後者は非極性分子を選択的に吸着します。
したがって、極性溶媒の水から極性の弱い有機物を吸着するには、
活性炭などの表面が疎水性(非極性だから水を寄せ付けない)である炭素系吸着剤を用いるのが適当です。

活性炭の表面化学は、百年以上にわたって強く興味をもたれてきた問題ですが、
この物質の表面官能基の詳細についてはほとんどわかっていいません。
現在も、いろいろな賦活条件によって活性炭表面上に形成される官能基の性質を、
IRS(内部反射スペクトル)という方法を用いて詳細に試験されています。

市販の活性炭は、様々な炭素系の物質を原料とします。
原料は、一般にCO2,CO,O2,水蒸気,空気,その他の気体の中で300〜1,000℃の温度で賦活され、
その後で空気あるいは水中で冷却されます。
商業炭の生産に使われる原料が不純物を多く含むためと、さらに賦活中に炭素層に濃度勾配や温度勾配が生ずるために、
活性炭の表面は不均質で、特定しにくいのが普通です。

酸素は活性炭とかなり反応することが知られています。
純粋な二酸化炭素中かあるいは真空中で賦活された活性炭は、
室温あるいは室温以下で酸素分子と反応することが知られています。
また酸素は、−40℃以下の温度で黒鉛粉末上非可逆的に“化学吸着”されることが示されました。
この非可逆的に吸着された酸素は200℃以上の温度でCO2やCOとしてしか回収できません。
この非可逆的に吸着した酸素の親和性は、
活性炭表面上で有機酸素官能基が形成されることを強く示唆します。

活性炭表面上、つまり、各種の形態をとる炭素の結晶子の端では、炭素原子の結合の規則的配列が切れ、
きわめて反応性に富む自由原子価を形成していて、
普通これらの原子価の多くは任意の適当な元素と結合し、表面官能基を形成します。
炭素の表面上に生じる表面酸化物は、
主として酸性酸化物であるということが種々の化学分析の結果から知られています。
これらは、カルボキシル基、フェノール性ヒドロキシル基、カルボニル基およびラクトン等を形成しています。
また、炭素表面には、これらの含酸素系官能基以外に、硫黄、水素、塩素等を含む官能基も存在します。
これらと有機被吸着質とが化学反応を起こしていることが明らかにされつつあります。

賦活の条件によっても活性炭の性質は変わってきます。
低温(500℃以下)で賦活された活性炭は“酸性”炭であり、高温で賦活されたものは“塩基性”炭であるということが実験的に示されています。
酸性炭とは、中性あるいはアルカリ性の蒸留水のpHを低下させることができるもので、やや親水性のものと定義されます。
塩基性炭は、酸性溶液との反応である種の陰イオンを吸着するために、
酸性‐塩基性という意味では必ずしも塩基性ではないですが、
中性や酸性のpHを上げることができ、やや疎水性であるという性質を持ちます。




参考文献
『ウェーバー水質制御の物理化学的プロセス』
『水処理 その新しい展開』


Top