Biotope

梅津研究室の新卒研生に与えられる課題のひとつが、ビオトープ作製です。
ビオトープの勉強から、熱帯魚の勉強、水質の勉強、計画、設計、施工、維持管理、
そして現在に至るまでの道のりをご紹介します。

・ビオトープとは? (About biotop ?)

・熱帯魚のこと   (Tropical fish)

・水質について   (Water quality)

・水循環について  (Water cycle)


ビオトープとは? (About biotop ?)

 「ビオトープ」:biotop(独)、biotope(英)
 生命(bio)が生存できる環境・場所(top)という意味。日本語では「生物生息域」等である。 が、はっきりした定義や概念はなく、ビオトープを扱う集団や個人でそれぞれ違うらしい。 私個人としては、生態系が存在できる閉空間と捕らえてます。正しいかどうかは知りません。 身近な物では、金魚鉢とか水槽。広い意味では部屋、島、大陸、地球もそうだと思います。 我が研究室では個人の机の隅に置けるサイズの「ミニビオトープ」として扱います。

 実際に見たほうが・・・ということで、これが私の作品です。↓

うちの研究室では特に魚に限定しているわけではありませんが、魚が多いです。

 ビオトープとただの水槽との違いは、生態系窒素循環をベースに考えてるところでしょうか。 そのためこれを作るだけでも、「ビオトープとは?」から始まり、魚の種類、生態、ろ材、ろ過システム、 水質、硝酸、亜硝酸、アンモニア、硝化、脱窒、嫌気、好気、微生物、窒素循環、曝気、エアレーション、 エアリフト・・・等など、これら全てのこと知る必要がありました。 とは言っても、完全な生態系を再現するのは非常に難しく、多少のエサやり水替えは必要です。

 単純に見えてものすごく膨大で奥深く。つまらなそうに見えて実は思った以上に魚がかわいらしい。 そんな魅力があるのがビオトープです。

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熱帯魚 (Tropical fish)

 アマゾン、アフリカ、東南アジア等の熱帯地方に生存する魚で、 図鑑で見ただけでも、ざっと200種類以上います。有名なとこでは、エンゼルフィッシュ、グッピー、 ネオンテトラ、最近話題になったのはカクレクマノミ。ニモです。ファインディングニモの。

 そんな200種類の中から、自分がどの熱帯魚を飼いたいかを決めることがビオトープ作製の第一歩でした。 私の場合は、知識ゼロの状態で「熱帯魚といえば?」と聞かれて、はじめにイメージしたのがニモでした。 それから調べてみると、ニモ(クマノミ)が住める環境は、海水。さらにイソギンチャクと共存することがわかりました。 初心者に海水の管理は難しく、しかも海水は泡をブクブク(エアレーション)させると、水槽が塩だらけになるらしいし、 できればイソギンチャクは飼いたくない。とのことで断念。

 このように、熱帯魚にはそれぞれ種類や種族によって、生態や求められる環境が違います。 具体的には、水温PH(酸性かアルカリ性か)、塩分濃度等など。 また、他の魚との相性 も考えなければなりません。いろいろ調べて、勉強し、考え、結局はじめに飼うことにしたのは、 下の写真のラスボラ・ヘテロモルファという、鯉の仲間にしました。

ラスボラは水温:24〜26℃、pH:弱アルカリ〜中性、淡水という環境が適しています。
おとなしくて、初心者向けで、キレイで人気があるってことで決めました。いい環境で育つと体のラメが美しくなるのが魅力らしい。

 また先日、同研究室のN武さんから有難く頂いた、ミッキーマウスプラティ。求められる環境条件はラスボラとほぼ同じ。 相性も問題ないので混泳させることにしました。 尻尾の3つの黒丸がミッキーみたい。だからこの名前です。
なかなかいい写真が撮れました

こちらもおとなしく、というより臆病なのかすぐ隠れようとします。隠れては上半身だけ出してこっち見てます。

今現在はこの2種類、計14匹の熱帯魚が私のビオトープに住み着いています。

 求める環境をより適切に再現することが、熱帯魚の長生きや繁殖に繋がります。 そして、その環境に最も大きく関わっているのが水質です。 どんな水質が、熱帯魚にどんな影響を与えて、どの程度が安全なのか。水質についての内容は濃いので次の項目へ。

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水質 (Water quality)

 水質とは水に含まれる成分、その量、状態。漢字そのまま、水の性質ってとこでしょう。 しかし一言で水の性質と言っても色々な性質があります。例えば、BOD、COD、全窒素量、 アンモニア態窒素濃度、亜硝酸態窒素濃度、硝酸態窒素濃度、pH・・・。まだまだありますが、 ここではビオトープとしての水質を考えるため、魚との関係が特に深い、アンモニア態窒素濃度、 亜硝酸態窒素濃度、硝酸態窒素濃度について書きます。まずはそれぞれの簡単な説明から。

アンモニア態窒素濃度

 動物にとって有害なアンモニア(NH3)の形をして水に溶けてる窒素の濃度。
魚の体、排泄物、餌などの有機物から発生し、亜硝酸菌によって分解されて亜硝酸になる


亜硝酸態窒素濃度

 アンモニアより遥かに有害な亜硝酸(NO2)の形をして水に溶けてる窒素の濃度。
分子が不安定なため周囲から酸素(O)を奪う。このことで水中の溶存酸素量が減り、魚は酸欠になる。 硝酸菌によって分解されて硝酸になる


硝酸態窒素濃度

 硝酸(NO3)の形をして水に溶けてる窒素の濃度。
アンモニア、亜硝酸と比較すると無害だが、蓄積されてくるとpHが下がるため、多量の蓄積は避けたい。 脱窒菌によって窒素と酸素に分解される。 また、植物によっても分解・吸収される

 言葉にするとこのような感じです。が、わかりにくいと思いますし、こちら側も伝えにくいので図にします。

 「アンモニア」→「亜硝酸」→「硝酸」の分解(酸化)の流れ硝化、 それに対して「硝酸」→「窒素」の分解(還元)の流れ脱窒といいます。 硝化は水中に溶け込んでる酸素量(溶存酸素量)が豊富な状態で活動する好気性菌、 脱窒は酸素が少ない状態で活動する嫌気性菌によって行われます。
 図をよく見ると、有害なのは水中に溶けてる窒素であり、各段階で微生物が分解することで、 無害な窒素ガス(N2)になっています。(植物の場合は分解して栄養として吸収)  この窒素(N)の発生から分解の過程を窒素循環といいます。 窒素循環が効率よくできるかできないかが水質に直接影響を与え、魚が長生きするか早死にするかが決まるわけです。
 別の言い方だと、微生物がいないと魚は生きていけない。ってことです。お祭りでとった金魚がすぐ死んでしまうのは、 金魚鉢に微生物がいなかったことが原因でしょう。

 またこの窒素循環を、熱帯魚を頂点とした食物連鎖と捕らえることもできます。


熱帯魚を飼うことで発生するアンモニアアンモニア を栄養とする亜硝酸菌が作り出す亜硝酸亜硝酸を栄養とする硝酸菌が作り出す硝酸硝酸を栄養とする脱窒菌が作り出す窒素ガス、 もしくは硝酸を栄養とする植物。その窒素ガスや、 植物に含まれた窒素成分は、いずれ魚のエサなどとして取り込まれる。
 どこか一箇所でも窒素の循環が途切れてしまうと、この循環に関わるすべての生物(魚、菌、植物) が生きていけなくなる。立派な食物連鎖と言えるわけです。

 このような水質、窒素循環を考慮した環境を再現するのがビオトープである。 と私は考えてます。正しいかどうかは知りません。


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水循環 (Water cycle)

 その窒素循環を効率よく進めるためには水循環が必要です。
なぜかといいますと、わかりやすく言えば、水循環があると、菌たちにとっては 黙っててもエサが目の前に転がってくるという感じでしょうか。水循環がないと、 腹減ってんのに食べ物がない状態。
効率よい窒素循環とはどんどん菌たちに食わせることです。
歩き回れない菌たちですから、食べ物を運んでくる水の流れが必要なんです。

 じゃあどうやって水循環を作るかというと、色々ありますが、代表的なのはなんと言っても エアレーション(air ration)でしょう。あのよく水槽にある泡がブクブクしてるやつです。 あのエアレーション。別に何か特別な気体を出してるわけではなく、ただの空気を出しています。 あの泡の浮力を利用して水を循環させます。
 そしてエアレーションの水循環効率も見た目のスッキリさもアップさせた画期的水循環システムが エアーリフト(air lift)です。そのまんま、エアー(空気)で水をリフト(持ち上げる)システムです。 図にするとわかりやすいですね。こんな仕組みです。


これで水が回転するように循環します。

 実はエアレーションにはもうひとつ意味があります。 今調べてわかったんですが、そのもうひとつの意味はレーション(ration)の意味そのままでした。
ration:供給する。  エアレーションって空気(酸素)を供給するって意味だったんですね。
だからエアレーションをしなきゃ魚は酸欠になって死んでしまいます。

 ほかにも水中ポンプで水を循環させる方法もあります。私のビオトープはこれです。
水中ポンプを使う理由はなんといっても水を高く持ち上げられることでしょう。
ビオトープに滝とか川を再現したいときには欠かせないでしょう。
でも酸素は供給できないから別にエアレーションかけてます。ライトも合わせて結果、コンセント3つ使ってます。

 あとは、セットとして売ってる、上層ろ過装置下層ろ過装置外部ろ過装置とかでしょう。
水を吸い出して、生物膜(微生物がいっぱい住んでる石とかスポンジの層)を通して水槽に戻す。
一つで水循環から窒素循環までやってくれるすごいやつです。

 これらの方法で水循環をしながら魚を飼うわけですが、1つ注意が必要です。
実は微生物(硝酸菌、亜硝酸菌)が十分に発生するまでには時間がかかります。
だから、水道水入れて、魚入れて、水循環して、・・・ってやると、たぶん死にます。
亜硝酸菌がまだ住み着いてないから、アンモニアが原因の中毒でしょう。お祭りの金魚と同じ原因。
そういうわけで、水槽ができて、水を入れたら、魚を入れる前に、循環させて、微生物を増やさなければなりません。
そこで下の図なのですが、時間経過とともにこのような感じで水質が変化し、微生物が発生します。


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